ABMという言葉を聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。ABMは別名キーアカウントマーケティングとも呼ばれるアカウントの認識をベースとしたマーケティング手法の一つですが、具体的にどのような意味を持つ言葉なのか知っている方は案外少ないかもしれません。そこで今回は、ABMについて、ABM導入後成功した事例と合わせて徹底解説します。
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?
ABMとは、B2B企業が優良顧客に対して行うマーケティング戦略の一つです。顧客企業を分析・理解し適切にマーケティングアプローチすることにより、ベストタイミングで商談へ持ち込めます。さらに、ABMを活用すると、各顧客のニーズにしっかりと対応し、かつ潜在的顧客にもアプローチすることも可能です。
ABMはインターネットの普及と切っても切り離せない関係にあります。インターネット普及以前は、それぞれのニーズに対応できず、テレビCMや新聞広告などのように、ターゲットに対し全体的に仕掛けることしかできませんでした。
しかし、インターネットが普及したことにより、個々のニーズに合わせて適切にアプローチできるようになりました。結果的に、顧客満足度が向上し、企業利益にも大きく貢献しています。
ABMについて更に詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
ABM導入成功事例
今回ABM導入成功事例として紹介する企業は、多くの人が知っている有名企業を中心にピックアップしてみました。事例を見ることで、改めて「実は身近な大手企業の数々が、ABMを導入していたのだ。」と実感できるでしょう。
#株式会社村田製作所
世界有数の電子部品メーカーである株式会社村田製作所は、Wi-Fiモジュールおよび積層セラミックコンデンサで世界トップクラスのシェアを誇っている企業です。当企業の製品は、携帯電話やOA機器、自動車やオーディオ機器など幅広くラインナップされているため、その商品の量は膨大でした。そのため、顧客管理を適切に行うことが難しかったのです。
そこで当企業は、「高付加価値商品の販売促進」「コアな顧客に対する営業支援」この2点に重点を置いたマーケティングを実行するために、Adobe社の「Marketo」を導入しました。
運用方法は、まず名刺を基にした顧客情報をSFAに入力し、注力したい顧客をピックアップします。次に、選んだ顧客をMarketoと情報連携させ、顧客ニーズに合わせたコンテンツをWebサイトに表示。最後に、Marketo経由でメールを用い、顧客に当企業のURLを配信しました。この手法で株式会社村田製作所はABMを導入し、36%という高クリック率を実現しています。
#ヤフー株式会社
IT企業大手であるヤフー株式会社は、ニューノーマルにおける時間と場所にとらわれない「新しい働き方」を追求し、ABM導入に踏み切りました。当企業は、データの「精度・鮮度・粒度」の重要性にスポットを当て、顧客管理・洗い出しを徹底的に実施。そして、「重点優良顧客群(企業群)」の中から顧客の関連企業や未取引支店、さらには潜在顧客、いわゆる「ホワイトスペース」にアプローチすることに成功しました。
当企業は、既存の顧客管理に伴う収益向上効果をさらに高めるために、また顧客と繋がるきっかけを増やすためABMを実践。適切なデータ管理と共に、ホワイトスペースの攻略方法を編み出しました。結果、ヤフー株式会社はABMを導入したことにより、BtoB顧客化率が7倍にアップしたのです。
#PayPay株式会社
QRコード決済サービスを提供しているPayPay株式会社は、ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合弁会社です。キャッシュレス決済の先駆けとなったサービスは全国300万ヵ所以上で使え、さらに公共料金の支払いにも活用できるようになりました。
そんな当企業の課題であったのは、開拓先の顧客企業を手作業で検索していたこと、さらに収集できた情報量の少なさからマーケティング活用が困難なことでした。
そこで、まず業務効率化ツールのSFAを更新し、次にSFAをLBCと連携させることにより、ホワイトスペースをあぶりだしました。そして、ABMツールにはLandscape社の「uSonar」を導入し、取引実績に関するデータを統合することで、マーケティングに活用可能な基盤を構築。結果スピーディーなシステム稼働が可能となり、ABM導入が見事に功を奏したのです。
#VAIO株式会社
以前はソニーの関連会社であったVAIO株式会社は、パソコンの製造や販売、およびEMSを主とした事業を行っている企業です。当企業は、大企業であるからこその悩みでもあり重要点でもある、「部署間の連携性」にスポットを当てマーケティング戦略を実施。特にマーケティング部署と営業部署との連携性を高め、さらに解像度を高めることを目的にABM導入に踏み切りました。
そこで「Marketo ABM」を導入。結果、マーケティング部署と営業部署との連携が強化し、ワンチームとしての運営に成功しました。
#株式会社ユーザベース
SPEEDA・FORCAS・NewsPicks等の各種経済情報サービスを提供している株式会社ユーザベースは、2008年設立以降飛躍的に成長を遂げ、2016年には東証マザーズに上場した企業です。
当企業の課題は、集客に時間がかかっていたことです。メール配信ツールが無かったために、イベントやセミナー開催に支障をきたしていました。さらに、顧客管理やリードの精査が徹底的に実施できず、優良顧客に対するアプローチが万全でなかったことも課題の一つでした。
そこで、adobe社の「Marketo」を導入し、まずマーケティングオートメーションとセールスとの連携を強化しました。次に、データを徹底的に洗い出しSFAとMarketoで同期させ、顧客を細分化し優良企業の選択を実施。結果、営業効率がアップし、受注率は約5倍、売上は前年の倍近くまで増加しました。
#株式会社セールスフォース・ドットコム
ビジネスアプリやクラウドプラットフォームをインターネットで提供している株式会社セールスフォース・ドットコムは、アメリカのカリフォルニア州に本社がある企業です。
当社の課題は、情報収集に多くの時間がかかること、さらに情報量の少なさや質の低さでした。特に、中小企業がターゲットの場合、情報量の少なさで苦戦を強いられていたのです。
そこで、ABMツールとしてSPEEDAを導入し、顧客情報をスピーディーかつ正確に調査できるようになりました。具体的には、1社あたり2時間程度かかっていた調査時間が、約30分に削減。さらに、商談化率も向上していきました。
#株式会社LIG
WEB制作会社である株式会社LIGは、WEB制作以外にもWEBクリエイタースクール運営など幅広く事業を展開している企業です。当企業の課題は、新規でアプローチしたい企業へのアポイント獲得に手間と時間がかかることでした。さらに質の高いユーザーリスト作成に多くの時間がかかっていたのです。
そこで導入したのが、MAツール「BowNow」に機能追加されたABMテンプレートです。結果、顧客にアポイントを取るまでの時間が1/2に短縮され、自社のサイトに訪れた顧客を容易にリスト化できるようになりました。さらにアポイント率も安定して10%台となり、経営安定へと繋がっていったのです。
ここまで事例を紹介してきて、ABMが意味あるものだと理解できたと思います。もし興味がわき、実際にABMを使用してみたいなという方はこちらの記事をチェックしてみてください。